【研修インタビュー】社会福祉法人芳洋会

インタビュー記事

社会福祉法人芳洋会について

東京都西多摩郡にある社会福祉法人芳洋会(以下、芳洋会)は、特別養護老人ホームの運営を中心として、デイサービス、小規模多機能型居宅介護、サービス付き高齢者向け住宅などの在宅サービス事業を展開している社会福祉法人です。
法人理念として「安心と充実の人生をご一緒に。」を掲げ、利用者と家族・スタッフ・地域社会がハートとハートで結ばれた高齢者福祉への取り組みを通して、いくつになっても喜びや生きがいを感じながら自分らしく安心して歳を重ねられる社会の実現に貢献することを目指しています。
この記事は芳洋会人事担当の関澤さんに、芳洋会で実際に行われている研修や社員交流に関する取り組み、社員のキャリアアップに対してどのように考え、そのサポートを行っているのかについてインタビューした内容をまとめたものです。

1.内定から入社までの間に行っている研修について教えてください。

研修という意味では、入社前の3月末に5日間使って、芳洋会の理念や組織風土など、いわゆる介護技術でない価値観の部分についてしっかりと話をして、価値観合わせを目的とする研修を行っています。その後最終日にはホテルのパーティールームで歓迎会を行い、4月1日の入社式へという流れになっています。入社後は技術的な研修や勉強会などが入ってくるので、事前にコミュニケーションを十分にとって関係づくりは出来上がった状態で入社後の研修が始まるようにしています。
コミュニケーションを取ることに関しては、内定してから入社するまでの間で定期的に行っており、他の社会福祉法人さんと比べると力を入れているところだと思っています。具体的には、入社する前年の6月から、8月、10月、12月、2月とレクリエーションのような交流の機会を作っています。例えば今年の6月は、都内で毎年恒例のボーリング大会をしました。8月はサマーフェスティバル、10月は内定式後の懇親会を予定しています。強制参加ではないのですが、こういった中で内定者と職員の交流、内定者同士の交流が増えていき、顔見知りになっていきます。毎年様々な企画をしていて、今年は皇居ランをやってみようかと思っているのですが、運動が苦手な人にも楽しんでもらえるかと悩んでいるところです。

2.入社後の研修について、具体的な内容を教えてください。

芳洋会の特徴として、求職者の方には三つに絞ったポイントをお伝えしています。それは「教育研修が充実しています」、「キャリアプランが明確になっています」、「福祉機器を活用してお互いに安心安全なケアに努めています」というものです。この中で具体的な研修の内容と直結しているのが、「福祉機器の活用」です。このための研修を、法人内ではもちろん、外部でもきちんと受けてもらっています。例えば、福祉機器の移乗(ベッド・車いす間の乗り移り)用リフトに関するもので「リフトインストラクター」という資格があります。こういった社内だけでなく外部のどこでも通用する資格取得を支援し、資格を持っている人にはきちんと本人の給与や手当てに反映されるような仕組みにしています。
スキル研修に関しても、手厚く行っていると思っています。研修会場で話をする人の中には、自分の時間や休日を使って参加している人もいます。芳洋会では、当たり前の話かもしれませんが、きちんと職務時間の中で職務として行ってもらっており、出張手当もプラスで出しています。その他、内部で研修や勉強会を行う場合にも、新しいスキルを身につけてもらう場合には残業代をきちんと支払うようにしています。「あたりまえのことを、あたりまえに。」という芳洋会の行動指針は大切にしています。

3.社員のキャリアプランについての考えを教えてください。

芳洋会でのキャリアに関する全体像として、まずスタートは全員一緒で「ケアワーカー(介護職員)」というところからスタートします。しかしその後は各自でどのような資格をとって将来的にどういった仕事をしたいか考え、それら可能性のピースを自分で組み立ててなりたいものになれるという形にしています。
ケアワーカーからのスタートに関して、例えば相談員、相談員とは福祉サービスを利用したい方の窓口やつなぎ役となる職種ですが、他の法人によっては新卒でいきなり「相談員」として仕事をできるとしているところもあります。ただお客様の立場に立って考えた時、学校を出たての相談員と、ちゃんと現場を見てきた相談員がいれば、間違いなくしっかりと現場を見てきた相談員に相談した方が安心します。そういった意味もあり、高齢者福祉事業をベースとしている法人として、どんなキャリアを目指すにしてもまず第一線で介護職というところをきちんと押さえてもらうために最初は全員ケアワーカーとして経験を積んでもらいます。
少なくとも3年はケアワーカーとしてきちんと基礎を積んだあと、自らのキャリアビジョンを持っていれば色々な可能性があります。在宅系の管理者になりたいとか、相談員になってみたいとか、施設長になってみたいとか。そういった目的に応じて、必要な資格があればその取得を支援します。高齢者福祉事業という分野の中には、様々な専門領域があります。これらに関して自分がどの専門領域に進むかは本人が決めるべきことと考えていますので、すべての基礎となるケアワーカーで3年間きちんと学んでもらった後は、本人が望むキャリアプランを支援するという形を取っています。

4.人事担当として大切にしている考え方を教えてください。

「自分たちが楽しいと利用者も楽しい」ということです。福祉の仕事は、滅私奉公的な、お年寄りのために自分は身を粉にして尽くすといったニュアンスが世間一般的にあったりします。ただ、芳洋会ではお年寄りだけが安心した人生を送れればいいというのではなく、「安心と充実の人生を『ご一緒に。』」という理念を掲げています。利用者の方を支えている自分達も、自分の家族を支えたり、自分自身しっかりと生きていかなければならないことを考えると、自分達が楽しく働いて長く仕事を続けていくことも重要と考えております。
加えて、そういった楽しく働いている姿が、結果として一番お年寄りの方々を元気づけることになるとも考えています。例えば利用者向けのレクリエーションで、スタッフ自らの提案により有名アーティストのE-GirlsやEXILEの曲を歌って踊るというものがありました。お年寄りの方はE-GirlsやEXILEをほとんど知らないと思いますが、若いスタッフが元気に歌ったり踊ったりしている姿を見ているだけで、みなさん笑顔で心から楽しそうに過ごされていました。まずは自分たちが楽しく仕事をすることで、お年寄りやご家族の方たちにもそれが伝わるような仕事の仕方というのが、福祉においても健全な姿ではないかなと考えています。

※となりの研修室の記事は、現在 「Edu研」へと引き継がれております。