【研修インタビュー】エヌティオートサービス株式会社

インタビュー記事

エヌティオートサービス株式会社について

東京都大田区に本社を構えるエヌティオートサービス株式会社(以下、NTオートサービス)は、自動車整備に特化した専門企業であり、東京都内を中心に日産系販売会社の車検、鈑金サービスセンターを展開する他、マツダ、ホンダ、スバル、スズキ等国産車の車検・鈑金請負、ジャガー、BMW、アストンマーチン等輸入車メーカーの正規認定サービス、日産をメインとした新車PDI(納車前整備)や特殊架装といった事業を行う会社です。
1982年の設立以来「お客様に確かなご満足を提供すること」をモットーに、業界屈指の整備能力を誇り、「最新鋭と確かな技術力に裏づけされた、信頼と安心のトータルサービス」をお客様に提供しています。
この記事はNTオートサービス代表取締役社長の水村様(写真右)、企画部の山﨑様(写真左)に、NTオートサービスで実際に行われている研修の具体的な中身や、社員のキャリアアップに対してどのように考え、そのサポートを行っているのかについてインタビューした内容をまとめたものです。

1.入社後の研修内容について教えてください

まず全体的な流れとして、1~3月は毎年車検の需要が高くなり繁忙期となるため、入社した翌年の1月末までの10ヶ月間で基本的な車検整備を一人で任せられるように研修をしています。具体的な10ヶ月間の内訳としては、車検工場での実習が6ヶ月間、板金工場での実習が2ヶ月間、そして車検館柏店で実際にお客様と直接対応して行う短時間車検の実習が2ヶ月間となっています。ただ板金というのは匠の世界なので、2ヶ月間板金工場に研修へ行っても大きくは変わらないということで、現在は板金工場を1ヶ月にして、残りの1ヶ月で納車前点検整備(PDI)の工場実習にするなど、現場の声を参考にしながら毎年実習内容は見直しています。
その後は現場に入って実際に業務をしていただきながら、OJTの形で技術を教えています。ただここでもNTオートサービスならではの特色がありまして、入社後の5月~1月にかけては毎月1回(全9回)、新入社員の方々を集めてヒアリングを行ったり、各センターの工場長やセンター長が講師を務める勉強会を行っています。この狙いとしては、新入社員に成長を促すとともに、仕事やプライベートでの困りごとがあるか等もざっくばらんに確認し、本音ベースでのアドバイスをしたり、ある意味ではガス抜きも兼ねています。NTオートサービスでは複数の拠点があるため、同期で配属がバラバラになってしまい、先輩が30人いて新人は自分1人といったこともあります。会社として月に1回同期が集まる場所を設けることで、本人達で話をして勉強会の後は飲みに行ったりと、夜遅くまで話をしていることもあるようです。

2.研修の成果について教えてください。

販売会社では入社後2ヶ月間の集合研修を経て配属先店舗での教育に任される傾向が高く、定期点検の補佐や洗車といった内容がほとんどで、一人で車検ができるようになるまでそれなりの時間がかかります。NTオートサービスでは自動車整備に特化した専門企業であるため、前述のとおり入社1年目で車検ができるようになります。これは技術力の面でもそうですが、働き甲斐の面でも非常に好評です。先日、入社して1年経った社員が、自分が卒業した自動車専門学校へホームカミングという企画で招かれ、在校生の前で自分が今どのような仕事をしているのか説明するという機会がありました。この時、新車ディーラーなど他の企業に就職した同期の方が「私はようやく法定点検をやらせてもらえるようになった」といった話をする中で、NTオートサービスの1年生が「私はもう車検をやっています」と言います。そんなに早く仕事を任せてもらえるのかということで、先生や在校生からの評判はかなり良いと聞いています。
おかげさまで、採用に関しては多くの方々にご応募いただき、順調に採用することができています。NTオートサービスの一つの魅力としては、整備専門会社なので、「営業」への異動や「営業研修」がないことを挙げられます。また、今はSNSなどで同期はもとより先輩後輩の間ですぐに情報が伝わる時代であり、あそこの会社は残業代が出ないといった話はすぐに広がります。NTオートサービスでは当然すべて残業代は出していまして、繁忙期となる2~3月は仕事は大変だったけれど、むしろ給料がたくさんもらえて嬉しいといった声もよく聞きます。2014年から新卒の採用活動を始めて現在合計で20名ほどの社員を採用しましたが、離職率はほぼ0%で、会社見学の場などでも就活生達にNTオートサービスに入って本当に良かったですといった話をしてくれているのを見ると本当に嬉しくなります。

3.社員のキャリアップに関するその他の取り組みについて教えてください。

入社して2年目になると、2年生を対象に、1年間かけて覚えた技術を他の方々の前で披露する場として「新人習熟技能披露会」を開催しています。学科と実技の両方が行われ、実技に関してはNTオートサービスの昭和島サービスセンターの工場で不具合も仕込まれた同じ車を揃えて点検作業のみならず故障診断も含め、入社後に身につけた技術を披露していただきます。競技会ではなく披露会ですので、その場で順位をつけて表彰するようなことはありません。ただし、一応それぞれの点数は出ますので、所属するセンターへと結果を伝え、上司から本人へも点数や順位が伝えられる仕組みになっています。
面白いのが、これは2年生の勝負というよりも、むしろ2年生を教えているトレーナーの勝負とも言えることです。トレーナーは新入社員と年齢的に近い人間が選ばれるのですが、センターに結果をフィードバックするため、順位が好ましくなければセンターからトレーナーが教え方について色々と質問を受けることになります。それもあってか、研修を受ける新入社員とトレーナーは、研修期間で毎日お互いを高め合っているようです。例えば車検館での研修では実習ノートが支給され、新入社員が毎日どのような業務をして何を考えたか書き込んだ上で、トレーナーがそれに対して毎日フィードバックしていきます。フィードバックするトレーナーも、新入社員が1日1日成長していく姿を見て刺激を受け、楽しいと言っています。
このような取り組みが功を奏して、2016年には日産自動車が20年ぶりに関東甲信越地区で板金・塗装の競技会を開催したのですが、おかげさまで板金部門が優勝、塗装部門が準優勝、総合評価では優勝という成績を納めることができました。他の出場企業にはNTオートサービスが仕事をいただいている企業様もいて、そういった企業様より技術レベルが低かったら目も当てられないというプレッシャーもあったのですが、無事好ましい成績を出せたことに加えて、NTオートサービスがそのような技術レベルの環境だということを再認識することができて非常に良かったです。

4.今後の取り組みについて考えていることを教えてください。

今後も引き続き、「最新鋭と確かな技術力に裏づけされた、信頼と安心のトータルサービス」をお客様に提供していくために、社員への教育に力を入れていきたいと思っています。特に今後という意味では、自動車の技術がどんどん高度化していく中で、いわゆるスマホ世代やSNS世代と呼ばれる若い柔軟な頭でなければなかなか馴染めないと感じるものが増えてきていますので、その意味でも若い方々の活躍支援に会社として力を入れていきたいと考えています。
入社して最初の1年は車の基本を覚えていただく必要がありますので、まずは全員に車検ができるようになっていただくプログラムを組んでいますが、その後は本人の希望を聞いて、塗装や板金といったそれぞれの道へ進んでいただきます。その中で、例えば塗装であればNTオートサービスと取引のある塗料メーカーさんにお願いをして本当の意味での基礎研修をしていただいたり、板金であれば日産自動車で行っている板金の研修に行っていただくなどそれぞれの希望する専門技術が高いレベルで身につくように研修内容を都度考えているのですが、特に板金に関しては、昨今の様々なセンサーが取り付けられている安全装備が充実した車両においては修理後も安全装備が正確に機能するよう、診断機に繋いでエイミング確認を行い、非常に繊細なキャリブレーション(補正)作業を行う必要があるといった世界になってきています。
他にも、NTオートサービスの昭和島サービスセンターではジャガーやランドローバー、アストンマーチン、BMWといったメーカーにも技術レベルを認めていただいた認定工場となっており、工場のみならず認定メカニックもおります。新技術へのサービス技術対応の習得などのために、例えば定期的に海外へ研修に行く必要もあります。またジャガーにしてもBMWにしても輸入車では車体の素材がアルミカーボンコンポジットなどの先進素材を既に市販車で採用しており、車体パネルの結合方法ひとつとっても、今までの溶接ではなく、リベットと接着剤で結合するものに変わってきたりしています。今後国産車もそのような素材や製造技術が主流になってくると思われ、そういった先進技術は会社としてもどんどん学んでいく必要があると考えています。私たちの業界は匠の世界でもありますが、頭の柔らかい若い世代に今から技術を学んでいっていただくことで、若い人たちも、会社も、大きくチャンスが広がっていくのではないかと考えています。

※となりの研修室の記事は、現在 「Edu研」へと引き継がれております。