【研修インタビュー】株式会社カレン

インタビュー記事

株式会社カレンについて

東京都港区にある株式会社カレン(以下、カレン)は、デジタルCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)事業を行い、様々な企業でデジタルマーケティングの運用サービスを行う会社です。
『「顧客台帳」活用を、全ての企業に!』という経営理念のもと、顧客台帳運用No.1カンパニーをビジョンとして掲げ、販売活動のIT化に悩んでいる企業の課題を解決するべくデジタルマーケティングの設計から運用まで、幅広い事業を行っています。
この記事はカレンの代表取締役社長である藤崎健一さんに、カレンで実際に行われている研修やその研修がなされるようになった経緯、今後予定をしているキャリアアップ支援などについてインタビューした内容をまとめたものです。

1.研修の内容と、なぜその研修をしようと思ったのか教えてください。

研修では、全くの未経験者を想定して、インターネットとは何かということからデジタルマーケティングについて網羅的にまとめた研修を行っています。その研修後1年も経てば、デジタルマーケティングに関しては間違いなく一人前になれます。
このような研修を始めたのは、今から2年ほど前です。それまで、社内では長年、研修という概念がありませんでした。例えばあるプロジェクトのディレクターが退職した場合、同様のスキルを持った人間を外部から採用するということをずっと行ってきました。このようなやり方で会社を経営してきてどうなったかと言うと、カレンへの帰属意識の希薄化の一因になってしまったのです。おかげ様でカレンの運用サービスは誰もが名前を知っている大手企業様でも導入いただいているのですが、例えばカレンの社員が自分の仕事を友人に紹介する時、「大手企業のデジタルマーケティングを担当している」と話し、カレンの名前が出てこないようになっていたのです。
そうなると、他の大手企業においてマーケティング職の求人情報が出て、待遇がいいとなれば、すぐに転職をしてしまいます。加えて今の時代はITのスキルを持った人間は企業からの需要が非常に高いので、こちらで新たに採用しようとしても大変です。このままの経営を続けていては会社の文化も育たずダメになると3年ほど前にようやく気付き、それ以降社内での教育ということを大切にし、他のどこにも負けない研修を内製化できていると思っています。

2.研修の具体的な内容について教えてください。

「デジタルマーケティングの仕事」と一口に言っても、世の中にはデザイナーとして制作の部分だけに携わっている人や、システムの構築だけに携わっている人が多いです。しかしカレンの仕事は「運用」が基本ですので、顧客台帳という顧客のデータベースをもとに、こういうターゲットにこういうメッセージを送ると集客率がどう変わるかといった分析をしていきます。データベースの構造を理解しながら分析ができるためには、デジタルマーケティングに関するトータル的な能力が求められます。このような能力を持った人間というのは、デジタルマーケティングの世界においてもかなりの少数です。カレンではこの能力がしっかりと身につくように、テキストを作って、ゼロから育てるという研修内容にしています。
研修を受ける形式については、テキストを読みながら講義を動画で見て、提出した課題に対して遠隔で講師が添削するという形になっています。全体で二部完結型のテキストを作っていますが、ゼロから網羅的にデジタルマーケティングに関する内容を詰め込んだ結果、第一部だけで課題が108個あります。第二部でも、それに相当するボリュームがあります。その分研修を修了するためには本人の努力が求められますが、きちんと学ぶことができれば、1年でカレンのみならずデジタルマーケティングの世界で充分通用するスキルを身につけられるということは自信を持って言えます。

3.実際に研修を受けた人たちはどのように成長されましたか。

2年前に研修を始めた時、正直なところ賛同できない社員は会社を去りました。それまでの人たちというのは、研修を求めずに自分のスキルだけで仕事をしてきた人たちなので、大ボリュームのテキストを前にして「そんなことをしなくても自分のスキルは十分にある」という感じでした。しかしそれと入れ替わる形で、ITに関して完全に初心者という人たちが大勢入社してきたのですが、その人たちが研修に対して一生懸命取り組んだ結果、かつての人たちのレベルを一年で抜いてしまったと感じています。
新しく入社してきたのは、例えばアパレルショップで販売員をやっていましたというように、本当にITと全く関わってこなかった人たちです。彼ら彼女らと接していて分かったのが、カレンに入社してきたそういう人たちは、人生をもう一回リスタートしたいという気持ちが強いということです。アルバイトをしていてもこの先どうなるか不安だといった若い人が、ITという分野でゼロから学んで、もう一回ゼロからキャリアを積み上げていこうと意気込みを持って入社してきます。すると社内のみんなはITの仕事をしているので、自分だけ分からないというマイナスの心境からスタートします。このような人たちというのは、研修をした時の吸収力も非常に高いですし、研修の結果自分に自信を持てば持つほど、カレンという会社に対して帰属意識を高めてくれます。
研修は、インターネットとは何かといった内容や、ビジネス文書の書き方といった本当に初歩的なところからスタートします。引き続き、ITに関するキャリアをゼロからでも積みたいというような気骨のある若い方々を積極的に採用し、彼ら彼女らをデジタルマーケティングの世界において一流にするということをどんどんしていきたいです。

4.社員のキャリアアップに向けた今後の取り組みで考えていることがあれば教えてください。

ITの世界というのは進歩が速いため、今もどんどん環境が変わってきています。そのような中で、既存の研修テキストだけでは不十分な分野というのも出てきています。現在ではそこの部分もきちんと教育できるように、マーケティングオートメーションに関する話であったり、SQL構文講座といったものも行っています。こういった時代の変化に合わせたスキルのアップデートは、今後も引き続きやっていかなければならないと思っています。
加えて今年からカレンでは、IT技術に関する運用サービスにおいて、金融業界なら金融業界に特化させてノウハウを蓄積させていこうと、事業単位でチームを分けていく動きをしています。例えば同じ金融の中でも銀行や証券、保険といった形で世の中にはたくさんの業界があり、それぞれの専門知識とITの知識が組み合わされば、解決できる課題というのは山ほどあります。今後はこのように業界ごとの事業部を作り、事業部長としてそれぞれが担当する業界の課題をITで解決していける人を増やしていきたいと考えています。
事業部長レベルになると、単にITに関するスキルだけでなく、チームメンバーに対するリーダーシップなども求められてきますので、そういったスキル以外の要素に関しても、今後はさらにしっかりと教育をしていきたいと思っています。

※となりの研修室の記事は、現在 「Edu研」へと引き継がれております。