【研修インタビュー】株式会社ニュースター

インタビュー記事

ニュースターについて

東京都千代田区にある株式会社ニュースター(以下、ニュースター)は、通販、EC業界に特化した人材紹介サービスを提供している会社です。
好不況に左右される大量採用案件よりも、各企業の個別の課題により必要とされる採用案件を得意とし、”人と人との直接コミュニケーション”を重視したサービスを心掛けており、業界に特化させた独自のコネクションと人材選びが評価を受けて紹介決定率は100%の実績となっています。
この記事はニュースターの代表取締役である寺田勝人さんに、求職者の方が転職を行う上でキャリアに対してどのような考え方が大切か(質問1,2)、また人事担当者の方が採用を成功させるにあたってはどのような心掛けが重要なのか(質問3,4)といったインタビューを行い、内容をまとめたものです。

1.求職者の方が転職を行うにあたって、普段勧めているキャリアプランがあれば教えてください。

まず前提として、どのようなキャリアがいいかは人それぞれ本人の希望によりますので、これといって定型的なものはありません。例えば意外に思うかもしれませんが、現在経営者をされている方、会社から高い給料を受け取っている方々の話を聞いたりしますと、以外にもキャリアプランというのを考えていない方が多くいらっしゃいます。正直なところ、私もそうです。大学を卒業した後リクルートグループの人材紹介会社(現リクルートキャリア)に入社し、その後ベンチャー企業の役員を務めたり、現在会社を経営したりと様々な経験をしてきました。それらの経験や、トータルで12年以上の人材業界におけるキャリアはどれも今の仕事において欠かせないものですが、20年前にこのような自分になっているとはまったく思っていませんでした。キャリアとは、その時その時に与えられたことを全うしていると、後から振り返った時にそれがキャリアとなっているものだと思っています。
その上で、企業を紹介するために求職者の方々へどのような仕事をしたいのか、何を楽しいと感じるのかといったことを聞いていくと、その人のタイプや、様々なことが分かってきます。今やっている仕事が楽しいと思っているけれどさらに稼ぎたいとか、今やっている仕事がちょっと合わないとか、あと会社の将来性に関する不安を言う人が近年はかなり多いと感じています。そのような人それぞれの考え方に合った形で、まずは次のキャリアに向けて考えてみればいいのではないかと考えています。

2.求職者の方がキャリアを考える際の具体的な例を教えてください。

今は時代の変化によって求められる能力がどんどん変わってきています。例えば私が専門としている通販業界においては、テレビ通販やカタログ通販から、急速にネット通販になってきました。最新の2017年コールセンター調べによると、ついにネット通販のクレームが、それ以外の通販チャネルのクレームを超えました。これはつまりテレビ通販やカタログ通販以上の普及をネット通販がしてきたいという事実を表しています。そのような変化に伴って会社が求める能力も当然変わってきています。例えば紙のカタログを作っていた人はネットのカタログを作った実績がありませんから、「私はどうなってしまうのだろう」とすごく不安な思いをしている人が多いです。
そういう人については、コアコンピタンス(自分の核となる技術や特色)を細かく考えていくことをお勧めしています。例えば紙のカタログを作っていた人は、ネットのカタログを作ったことがなくても、通販の仕組みを理解している人が多いです。一人の顧客単価がだいたいいくら必要だからこういう商品がいいとか、こういう年齢層の人が買うとか買わないとか、分析の方法を知っているだとか。そういった知識は通販業界に入ったら自然と身についていることが多く、紙のカタログの需要が下がってきたとしても、そこはネットでも同じ理屈が通用します。ですので、自分が持っているスキルを棚卸しした上で切り分けていって、自分を支えるスキルを整理していくことがとても大切です。企業の方ではこういうスキルがほしいと考えていてそれに完全に一致する人を探してはいますが、完全に一致する人というのはほとんどいないといっても過言ではありません。通販業界に関するこの部分の知識はあるといった形で一部一致することをしっかりとアピールするだけでも採用が決まる可能性はかなり高まります。

3.企業の採用担当者に関してはどのような心掛けが重要だと思いますか?

先日、日本通信販売協会(JADMA)が主催する通販業界向け採用セミナーを行ったのですが、15社くらいの参加があった中でその時も改めて感じたこととして、人事担当者の採用に対する主体性が低いのではないかという懸念を持っています。例えばそのセミナーにはある外資系の企業が1社来ていたのですが、この会社だけ他社に比べて異常に採用実績が高かったのです。なぜその会社が採用できているかというのは色々な要素がありますが、一つ大きな要素として、ものすごく社内の情報に詳しいということが挙げられます。
事実その会社の採用担当者とお話をしていると、まず会社としての売上や利益、社史も含めて最近のトピックスは詳しく知っています。そこから営業や経理といった部署ごとの目標もきちんと理解していますし、どのような経歴で今の部署にいるのかしっかりと把握しています。採用をしなければいけないということはどこかの部署で人材が足りていないということですが、それについてどのような人材が足りていないのか詳しく理解しています。ここのチームは5人で50億の売り上げを維持しているマーケティングチームだとか、それぞれ担当はどうなっているか、この人はどこから来た人でどんなキャリアやスキルを持っているのかといったことをよく知っている。
採用目標を持たされていて、達成できなければ仕事がなくなるから絶対に採ろうという必死さがあるからかもしれませんが、このような人はやはり採用でもしっかりと結果を出しているケースが多いです。これに対して採用がうまくいっていないところは、だいたい担当者が自分の担当以外のことに関して詳しくありません。隅から隅まで会社のことを理解する必要があるとまでは言いませんが、採用をする時にどのような人が必要かということを見極めるためには、会社に関する詳しい理解があってこそという点はもっと認識しておくべきだと思います。

4.採用を成功させるための具体的な行動例を教えてください。

採用担当者自身が会社に対して深い理解をすることがもちろんベストですが、外部の業者を依頼する場合には、相手を信頼して会社に関する様々な情報を素直に教えるということが大事だと思います。
近年、求人広告を使う企業は多くなっていますが、この場合、営業担当者が色々とヒアリングをして、広告文を書いてくれます。会社名があって、しっかりとした求人広告があればそれで問題ない時代もありました。しかし今は、求人が大量にある時代です。その場合、さらに詳しい情報を持って求職者と直接話さなければなかなか決まりません。私は人材紹介業を営む者として、担当者へかなり詳しく会社の事情を聞いたり、社長にも聞きに行ったり、あの手この手で色々と情報を集めています。また私の場合は業界を絞っているので、蓄積された情報量も多く、それもあって求職者に十分な情報を伝えられるため、100%の紹介実績となっています。ただそれでも、自社の情報を詳しく教えてくれないような会社であった場合やはり非常に難しいと言えます。
極端な話、優秀な人材には年収1000万円以上支払うというような大企業であれば、基本的に採用は難しくありません。A クラスの人材はA クラスの会社がどんどん採用するのです。しかし私のところは年収400万~600万の人材を対象としていて、そのような人材を採用対象とするのであれば、仕事内容や組織の状態を詳しく知っていなければ採用できません。人事担当者であっても労務管理や給与計算など採用以外の仕事が忙しいということはよく理解していますので、その場合にはある程度外注することも必要だと思います。その際には、ぜひ積極的に会社の情報を教えていただければ、採用の成功率も上げることができると思います。

※となりの研修室の記事は、現在 「Edu研」へと引き継がれております。